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「亀崎潮干祭パンフレット」に掲載の「コラム 祭と俺」。
残念ながら本年度は祭礼が中止となったため亀崎潮干祭公式ページにアップしました。

この企画は、平成30年度にスタートし祭人に潮干祭への想いを語ってもらうコラムです。
祭への関わり方や楽しみ方、そして想いはそれぞれ。その人にとっての潮干祭とは・・・
毎回その年の代参元の組員にスポットをあてています。今年は中切組のお二人に話を聞きました。

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平成31年度 石橋組編
平成30年度 東組編


中切組 若者代表 森下 範一さん(56歳)

若い時は、ただただ山車を曳くことが楽しくてしかたありませんでした。若手、色看袢をいただいていたあの頃は「俺がいなけりゃ山車は動かん。」とまで意気込んでいました。
今は、山車の修復に携わらせていただいており、潮干祭当日も、組上げ・組下しの時も、山車の一つ一つの部材、込み栓一つも大切に取り扱ってほしいので『口うるさいおじさん』になっています。千秋楽に「今年も無事に終えることができた」と安堵と感謝で胸がいっぱいになりながら祭りの日を終えます。
今年は中切組が代参元で、その年行司を長男が賜りました。私には息子が二人おり、生後三か月ちょっとでお祭りデビューさせました。長男は幼少期に無理やり稽古に参加させていたからでしょうか、次男に比べると祭りには消極的ではあり、高校生頃より祭り行事から離れていましたが、大学を卒業し社会人一年生。皆様のお力添えをいただきながら、無事に代参元年行司を務めてくれることを願います。
亀崎潮干祭は神事で、一年中ある祭り行事には、多くの規律があり先人から継承されています。多くの地域と同様に、亀崎でも多くの人々の力が注がれ継承されています。これからもずっと、後輩・子供たちに、山車を大切に、神事を大事に受け継いでいって欲しいと心より願っています。






中切組 若者頭 伊藤 毅さん(33歳)

組に残る明治期に記された古い帳面に、先祖の名前を見ることができます。根っからの祭り好きだったと聞く祖父はかつて車元を務め、何世代にもわたって続く「祭り好き」の血は間違いなく私にも流れていると感じます。機会あってこうして筆を執らせていただけたのも何かの縁なのかもしれません。
小学校三年生で囃子方を始めてから毎年欠かさず祭りに携わっています。生まれも育ちも市外であったため、親の送迎や、電車を使って囃子の稽古等に通っていました。若者だった時には必死で梶棒に留まり、祭礼の二日間を謳歌していました。若者頭となった今では、祭りの伝統や文化を根底から支えていくんだという責任感や、無事に千秋楽を迎えられることを心から願うような、いわば「親ごころ」のようなものが原動力となっています。会合があれば日が変わるまで諸先輩方から熱い思いをうかがいます。それは経験に基づいたとても貴重な話で、祭り人生の糧となっています。山車や行事が文化財の指定を受けていますが、その礎はこの「思い」にあるのだと確信しています。
自分から祭りを取ったら何も残らないほどこの祭りが好きです。私の中にいつもあるもの。それは紛れもなく力神車であり中切組であり潮干祭であることは間違いありません。

このコラムは令和2年3月に書かれました。